たまらなかった。

ただ原作を読んだ作品がどのように映画になるのかを観たかったので、しかも、大体の映画は原作を超えることはないと聞かされていたので、日経新聞の映画評欄の評価が☆4つだったという若干の期待感だけを持っていた。

観に行くことになって、前半部分だけ原作を読み返していったので、所々にそれと符合する台詞や情景が出てくると胸が高鳴ったが、単に「原作を読んだから」という種類の高鳴りでは終わらなかった。当然、ロケ地が仙台だと言うこともあるが、それだけでもない。

配役もまた絶妙だった。僕が監督だったとしても、これ以上のキャスティングはできないだろう(もっとも素人なので当たり前だけれど)。良かったのは泉水(加瀬亮)と春(岡田将生)の兄弟とその父(小日向文世)、そしてもう一人の父(渡部篤郎)。本当にいい味を出していた。

原作にあったシーンは、それが想像力ではなく、視覚と聴覚を通して直に入ってくることで新たな感動を起こしてくれたし、原作になかった(と思われる)シーンも決して原作のイメージを壊すことなく、自然な『重力ピエロ』の一部分になっていた。

この映画は見ておいて損した気分はまったくなかった。多少、伊坂ワールド的なスタイリッシュな台詞はあるが、それでも何か大切なものを心に落としてくれる一作だった。重力に負けずにピエロがふわっと浮かぶような悲しさと温かさを含んだ感覚が鋭く突き刺さった。ここ数年で劇場に見に行った中では最高の一作だ。
沢尻エリカの舞台挨拶が物議を醸した映画。僕はあの凍りついた挨拶から、勝手にホラー映画だと想像していたのだが、特にそういうわけではなく、むしろ正反対な清々しい感じの作品だった。

話としては、観る側に「そうだったのか!」と思ってほしくて作ったと思われる話の展開のポイントが、「そうだよね。」という程度のうなずきに終わってしまったのがちょっと微妙だった。それでも全編を通して描かれる明るくも切ない感じ(?)のストーリーが良く、主役級の3人(沢尻エリカ、竹内結子、伊勢谷友介)の演技もきれいだった。特に目新しい要素があるような映画ではないと思うが、なんとなく心が温かくなるような感じはあった。
ドラマの続編的な位置にある木村拓哉主演の映画。ドラマは比較的見ていたほうなので、自分はすんなり世界観に入っていけたし、飽きずに楽しめた。

大体の面では期待を裏切らない出来だったと思う。コメディーとシリアスとをない交ぜにした展開もいつも通りで楽しめたし、出演陣の豪華さには目を見張るものがあった。ただ、敢えて言うならば、これはあくまでもドラマの延長に過ぎなかったような気がする。韓国でのシーンもあったが、あれはなんとなく本筋とはあまり関わりなく、不必要だった気もする。きっと映画だから何かしらかの目玉がほしかったのだろう。もともとドラマが高視聴率で、評判も良かっただけにそれを大きくいじったり、派手な仕掛けを施したりということをせずに、あくまでもドラマのファンのために、少し豪華にしてお届けしたといった感じなのではないかと思う。もしドラマを知らない人が見たら、しっくり来ない映画かもしれない。でも、見る人はある程度の予備知識はあるだろうから、前予想とそれほど大きくずれはしないのではないか。

自分はキムタクが嫌いではない。彼の演じ方はいつ見ても似通っているが、不思議と惹きつけられる。その魅力をはっきりと分析できないのが魅力といった感じがする。きっと今度のドラマも見てしまうんだろう。
DVD キングレコード 2008/01/09 ¥3,990
グラビアアイドル如月ミキが自殺して、1年がたった。その一周忌に彼女の思い出を語り合おうとファン5人が集まった。しかし、ファンサイトの常連である彼らは、彼女がなぜ自殺をしたのかを知りたくてたまらない。そんなときひとりが「彼女は殺されたんだ」と言う。他殺説を繰り広げるうちに、ハンドルネームしか知らなかった彼らの素性が浮…


 日本アカデミー賞で優秀作品賞をもらった作品らしいので、どんなものかと思い多少の興味をもって見てみました。結論からいうとなかなか楽しめたといったところでしょうか。見せ方がうまい映画だと思いました。まず、出ている役者さんが僕の好みに合っていたということと、所々で驚きというよりは笑いが起こるような展開があったことがツボでした。世相や社会問題を映すような問題作でもなければ、派手な爆破シーンとかがあるアクション映画でもないわけですが、日本映画独特のまったりと見せてくれるわりには時間が早く過ぎてしまうといった感じの映画だと思います。舞台が怪しげな地下っぽい一室でずっと進行するというのもなかなか出来そうで出来ないことだと思うし、CGも本格的なものは使っていないと思うので、その点では難しさはあったのだろうけれど制作費自体は安そうな印象を受けました。エンドクレジット共に流れるやけくそダンスを見ていると、現場は男だらけで男子校っぽいノリだったんだろうな、なんてことも感じさせられました。ためにはならないけれど、見て損することはないような作品だと思います。
DVD アミューズソフトエンタテインメント 2008/01/25 ¥4,935

 原作を読んでいないので比較としての感想を書けないのが残念だが、なんとなく映画を見た印象で言えば、伊坂幸太郎作品が元ネタになっているという感じを受けなかった。だいたい小説としての伊坂さんの作品は、ラストに全ての種明かしがされて物語が収束していくといった特徴があるような気がするのだが、それをこの映画ではいくつかの伏線を張って物語に謎と厚みを与えているといった仕掛けが施してあるといった感じで、ラストがスッとするようなものではなかった。きっと原作を読んで映画を見た人は、そのギャップに違和感を覚えるか別物として捉えて楽しむかのどちらかになっていたのではないかと思う。

 映画の感想を言えば、まず劇中歌のボブ・ディラン「風に吹かれて」に代表されるように、ゆったりとした流れの作品だと感じた。特に大きな驚きや展開があったようにも感じなかったが、観ていて飽きは来なかったように思う。その理由が伏線。いくつかのさりげない場面ややりとりがポイントとなって、話が進むうちにその効果を発揮している。そういう細かいところを観るのが好きな人にとっては面白い映画なのではないかと思った。

 ただ、僕にとって問題なのは、これから原作を読むつもりなのに先に映画の方を見てしまったということだ。はっきりいってネタばれした状態でミステリーを読むのがいいことなのか。そしてそんな状況でも楽しめるのか。多少悩むところだが、その顛末は後日報告することになると思う。
09月09日付 朝日新聞の報道「「一人横綱」白鵬、黒星スタート 大相撲秋場所初日」へのコメント:

 場所前の朝青龍報道で土俵の外が混乱したまま始まった9月場所。その荒れ模様を引きずったのか、負けましたね、白鵬。完全に安馬に引きずられる相撲で危ない危ないと思っていたら、やはり投げ負けての敗北。初日から座布団が舞うという展開になって、「なんだかなぁ」という感じになった自分がいました。

 「負け」という結果を除いて考えてみても、今場所の白鵬はなんか可哀相な気が個人的にはします。横綱になって2場所目で早くも一人横綱を務めるという重圧。注目度も人一倍高く、出稽古などでも勝たなくてはいけないという横綱という肩書きは、一人で背負うには重すぎる気がします。負けが続かなければいいと願うばかりです。

 そして今場所、僕の注目力士は、新大関の琴光喜、初日に横綱を屠った安馬、そして魁皇に勝った豊真将の3人となりました。琴光喜と豊真将は自力が前面に出てきた感があり、下半身の強さが物を言っている気がします。安定感が感じられる日本人力士といったらこの二人かなと。そして安馬は常にダークホース的な存在なのですが、体を上手くつくっているのか、毎場所ごとに大きくなっているような気が。ちょっと前まで感じられた線の細さが解消され、当たり負けせずに相撲を取れているのが光っていました。

 まぁ、注目しているだけで、優勝予想ではないので悪しからず。朝青龍のいない今場所は、誰が優勝してもおかしくはないというのが実感です。優勝レースを終盤まで面白く見れるように、横綱、3役の力士陣には奮闘を期待したいものです。

ゲド戦記

2007年8月10日 映画
DVD ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント 2007/07/04 ¥4,935

 見ました、「ゲド戦記」。個人的には過去見たジブリ作品と比べて残念な感じがしました。予習をしていなかった自分が悪かったのかもしれませんが、作品全体に流れる世界観が掴みづらかったような気がしたのと、脚本が原作に忠実だったのかどうか分かりませんが、ジブリ作品に特徴的なファンタジー系要素が薄かった感じがしました。さらに、最後まで映画の内容に「?」の残る部分も多く、鑑賞後もなんだかすっきりしないもやもや感が残ってしまいました。初監督作品だからおおめに見たいとは思いますが、次回作をつくる時には、「これぞジブリ作品」と思わせるようなものに仕上げて欲しいと思います。
 
 久々にスカッとした映画を見た感じがしました。最後の微笑みが心温まるドラマ的幕切れ。ファッションに興味がある人でなくても楽しめる展開だった気がします。

 ただ、題名の「プラダを着た悪魔」には突っ込みたいのですが、どこにプラダが出てきたのでしょう。結構、集中して見ていたつもりなのですが、ブランド名としてさえ一回も出てきてないような気が…。しかもなぜにプラダ?まぁ、そのあたりは見ている側の想像力に任しているということでいいのでしょう。

 自分的には一見の価値ありの映画だと思います。

幸福のスイッチ

2007年5月17日 映画
 弟が借りてきていたので、もののついでに見てみた一本です。淡々とした日常を描きながら、主人公の気持ちのあり方が変化していくのが感じられて、内容的にはともかく、心温まる作品だったような気がします。
 それにしても、主人公を務める上野樹里さんの演技の変化には驚かされました。過去に自分が見たどの作品でも、雰囲気が全く異なっているのにびっくりです。エンドロールを見てようやく「ああ、あの娘ね…」と感じるほど、違った印象を与えてくれます。コミカルな役柄からシリアルな演技まで変化に富んだ演じ分けは、まさに女優と言ったところでしょうか。今後も注目してみたい俳優さんの一人です。
 ふと見たDVD(UDON)の言葉「ソウルフード」が耳に残ってしまいました。「自分のソウルフードは?」と聞かれてもこれだというものが今はありません。大学時代なら間違いなく「カレー」と答えていたことでしょう。週9回くらいのペースで食べてましたから。まぁ、自分は基本的に好き嫌いもないし、選り好みもしないほうなので、ある程度食べられるものならば、美味しく頂いてしまいます。

 ちなみに日本人ってのソウルフードって、なんなんでしょうか?寿司・ラーメン・カレーあたりでしょうか。ハンバーガーとか牛丼、焼肉などもランクインしそうですが。そばも店舗数で言えば地域に一店くらいはありそうですね。日本人は世界で一番雑食でグルメな民族って勝手に思い込んでいる一人として、食糧難がきても日本はなんとかなってしまう気がします。

食べることは、欠かすことの出来ない人間の喜びの一つだと思うので、どれほど味覚が壊れていても、美味しいと思えるならば、それは幸せの一つの形なのでしょう。今日の朝ご飯ですら忘れてしまうのに、今日の夕飯を楽しみにしてしまう、そんないかにも適当な幸せの形があってもいい気がします。

 
DVD ハピネット・ピクチャーズ 2007/03/16 ¥3,990

久しぶりにDVDで映画を丸々一本見ました。最近はつまみ食いばかりだったのですが、最近の映画のなかでは評価が高いようなので。
個人的な感想ですが、松雪さんの存在感が全体を支えているような感じがしました。確かにアカデミー賞で最優秀助演助優に選ばれた蒼井優さんの見せ場も多かったとは思いますが、ストーリーの中で泣かせられる部分はやはり、松雪さんと炭鉱夫との掛け合いだったような気がします。
映画を見ても涙は出ない自分ですが、ちょっとぐっと来ることは多かったのが本音です。実話をもとにリメイクされているという現実がさらに心に響きました。やはり世間的な評価が高い作品はチェキラァしたいと思います。
最近、『時効警察』でフューチャーされている三木聡さんの監督作品です。「脱力系エンターテイメント」などと批評されており、構えずに見ていられたような気がしますし、その上、細部が凝っていて面白く作られているような気がしました。
ディテイルの表現についても、全体的にストーリーが淡々としているところについても、『時効警察』に似通ったところがうかがえます。
この映画(DVD鑑賞だが)を見たのは、1年くらい前なのですが、いまだに我が家では「こもどとんととん♪」の映画でとして、共通の認識ができています。感動とか、アクションとかとは離れて、気楽にみたいならばおすすめの一本です。
DVD アスミック 2004/08/06

久しぶり(一月くらいぶり)に見たレンタルDVD。とはいえ、DVDで借りてみたのは初めて。妻夫木君と池脇さんの演技が、自然すぎるほどの自然体で、視覚的にも聴覚的にもGOODでした。

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