ループ

2012年4月10日 日々の暮らし
人は永遠を希求する。

それは喜びや楽しみを永続的なものにしたいからかもしれないし、または、本能的な死に対する恐怖からのものかもしれない。プラスをさらにプラスにしたいからか、マイナスの幅を少しでも縮めたいからか、動機はどうであろうとも、今の瞬間がずっと続けばいいのにと思うことは誰しもあるとは思う。


僕も今日そんな思いを抱くときがあった。


朝、駅である人を待っていた。前に書いた一心不乱に走る少年だ。

僕は久しぶりにいつもの電車に乗って駅のベンチで休んでいるときに、ふと彼は来るだろうかと思いをはせた。

彼は学生であるから、新年度に改まったことで卒業してしまっているかもしれないし、通学時間帯が変わるかもしれない。

ただ、一言も交わしたことはないとはいえ、これからも彼の姿を確認することで、

「よし今日も頑張るか」

と思いを新たにできるといいなと思っていたし、少なくとも彼が僕の世界からいなくなってしまうことは悲しいことだった。それはきっとあり得ないことだろうけれど、できれば彼が変わらずにいつもそこに存在していてほしいとさえ思った。

しばらく駅のベンチで休んでいたが、それはすでに休憩のためではなく、彼を確認して安心感を得たい、さらに言えば、小さな永遠を手に入れたいという欲求のための時間だった。

彼の来るはずの電車がやってきて、人波が流れてきて、期待と不安が入り混じった感情が僕の中に流れた。

果たして彼はやってきた。

いつものように一心不乱に、わき目も振らず、必死に走っていた。

僕はそれを確認すると満足して、彼の後を追うようにして仕事に向かった。

このわずかなループが永遠に続けばいいのに。

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