『パイロットフィッシュ』→『アジアンタムブルー』を読んでから大好きな作家さんのうちの一人になった大崎善生さんの短編集。

この人の書く文章の響きは僕にしっくりと馴染んでその世界に引き込まれている。一方的な思いだが、ここまで相性が良いなと思う作家さんはめったにいない。

僕が思うのは、大崎さんの文章には「生きること」についての問いが息づいているということだ。主人公が他の登場人物や自分自身を俯瞰しているように感じることが多いのがその理由だ。

一般的には救いようのない出来事を描くときにも、単に感情を爆発させるのような描き方よりは、その感情の出所への問いを優先させているように思うのだ。そのようなあふれ出た感情の描き方がとても心に響く。そして文章が優しさと哀しさに満ちている。

まだ出版されている本の3分の1も読めていないので、あまり語る資格はないけれども、これからも読んでいきたい魅力ある作家さんだ。

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