映画も公開中の伊坂幸太郎さんの本。人の死の可否を判定するために当人に接触して調査する千葉という名の死神を主人公にした連作短編集。
読み始めて少し経った頃に、これは今まで読んだ伊坂さんの小説とは雰囲気が違うなと思った。なんと言ったらいいか分からないが、背景描写などにも暗さが前面に出ているにもかかわらず、その暗さが物語全体を支配せずに、なんとも言えないミステリアスな雰囲気を作り出しているといった感じを受けた。基本シリアスな展開が続くのに時にファニーな印象を受けるのも、読んでいて不思議な感じだった。僕にとってはかなり好印象だった。
死神に関しての設定に特殊なものが多いにもかかわらず、読んでいて違和感をほとんど感じないのも不思議な感じだった。死神が一般に認識されている恐怖の対象としてのそれではなく、死に関しては絶対的な権限を持ちながらも、万能ではなく、人間のことをそれほど熟知していないという設定にも何か惹かれるものがあった。死神のわりに人間臭さがあったというべきか。疑問に思うことを素直にぶつけるその一言が妙に哲学的であったりするのにははっとさせられることがあった。
よくよく考えてみれば、伊坂さんは長編小説のときにも細かく章を区切っていることが多い。そして群像劇を書くのが抜群にうまい。それを踏まえると今作のように短編を並べてみて、最後に横の関係を持たせてみるという小説の書き方は得意とするところなのだろう。各短編にも仕掛けが施してあり、全部を読み終わった後にも相互の関係性があることに新たに気づかされる。この二重のトリックにははまってしまうと抜けられない力がある。
個人的には長編より短編集の方がとっつきやすくて好きだ。『チルドレン』も結構好きだが、それとは雰囲気の違う今作も良かった。どれも精度は高かったが、個人的には「旅路を死神」が好きだ。『重力ピエロ』とのつながりが意外だったのと、仙台が出てきたから。
読み始めて少し経った頃に、これは今まで読んだ伊坂さんの小説とは雰囲気が違うなと思った。なんと言ったらいいか分からないが、背景描写などにも暗さが前面に出ているにもかかわらず、その暗さが物語全体を支配せずに、なんとも言えないミステリアスな雰囲気を作り出しているといった感じを受けた。基本シリアスな展開が続くのに時にファニーな印象を受けるのも、読んでいて不思議な感じだった。僕にとってはかなり好印象だった。
死神に関しての設定に特殊なものが多いにもかかわらず、読んでいて違和感をほとんど感じないのも不思議な感じだった。死神が一般に認識されている恐怖の対象としてのそれではなく、死に関しては絶対的な権限を持ちながらも、万能ではなく、人間のことをそれほど熟知していないという設定にも何か惹かれるものがあった。死神のわりに人間臭さがあったというべきか。疑問に思うことを素直にぶつけるその一言が妙に哲学的であったりするのにははっとさせられることがあった。
よくよく考えてみれば、伊坂さんは長編小説のときにも細かく章を区切っていることが多い。そして群像劇を書くのが抜群にうまい。それを踏まえると今作のように短編を並べてみて、最後に横の関係を持たせてみるという小説の書き方は得意とするところなのだろう。各短編にも仕掛けが施してあり、全部を読み終わった後にも相互の関係性があることに新たに気づかされる。この二重のトリックにははまってしまうと抜けられない力がある。
個人的には長編より短編集の方がとっつきやすくて好きだ。『チルドレン』も結構好きだが、それとは雰囲気の違う今作も良かった。どれも精度は高かったが、個人的には「旅路を死神」が好きだ。『重力ピエロ』とのつながりが意外だったのと、仙台が出てきたから。
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