ISBN:4101058210 文庫 角田 光代 新潮社 2003/06 ¥420

 これも去年の「新潮文庫の100冊」に選ばれていた本。なんとなくだけれど、出版社が特別に推薦している本は悪くない気がして手にとってみた。

 小学5年の女の子が別居しているダメなお父さんに半同意的に誘拐(キッドナップ)されて、夏休みの貧乏旅行をする話だった。難しい言葉なしで、子供口調で語られる物語には多少戸惑いを覚えた。なんとなく自分はこんな言葉遣いしていなかったなぁと思ったので。ただ、父親に対しての、語られることのない感情やある時に思わず爆発する思いなどには、「そういう時期もあったなぁ」と自分の同時期を思い起こして懐かしくも感じた。父と娘の交流記といった形の児童文学であると思うし、主人公の女の子くらいの年齢のほうが読んでいて共感できる部分は多いと思う。または、子どもとのコミュニケーションに悩む親世代の人が対象かと。ただ、父が母に何を要求していたのかが最後まで明らかにされず、いまいちすっきりしない感じで話が終わってしまうのが残念だった。、もっとも明かされない方が想像力を掻き立てられていいのかもしれないけれど。軽く読める本ではあるけれども、好き嫌いは結構分かれそう。

 

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