ISBN:4101253323 文庫 梨木 香歩 新潮社 2001/07 ¥420

 去年の「新潮文庫の100冊」に含まれていた作品。作家や作品への予備知識なしに読んでみた。

 なにが上手なのかはっきりとは分からないが、親しみやすく温かい文章を書く人だという思いが読み進めていくにつれて深くなった。それでいて生きていくための指針となるような大切な言葉を、優しい文体に乗せて届けてくれる。決して人目を引くような文章でもないし、派手な展開が起きるわけでもないのに、とある日常の風景を描く中にこれだけ多くのものを含ませることが出来るのは正直に素晴らしいと思った。誰もが生きていく中でぶつかる苦悩が、誰にでも分かる言葉で綴られているところなどは非常に共感を覚えるし、夢に描くような自然の中での生活を心の豊かさと共に表すところなども、読んでいて心地よかった。

 おそらく受賞している賞などから考えると、ジャンル的には児童文学に分類されるのだろうが、これは誰が読んでも納得できる作品だと思う。心がが温かくなる。もちろん多感な時期に読むのも感性が広がっていいだろう。こういう文章を書ける人がいるのを見つけられて良かったと思う。

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