今までに、そう多くはないがいくつかの町を歩いてみたことがある。「下町情緒溢れる町」とか「女性が選ぶおしゃれな街」だとか何かで言われていた所にも行ったことはあるが、いまいちしっくりこない。僕の訪れてみた町というのは、あくまで景観だけを前提とした町であって、人というものが入ってはいないからだろう。ただ1時間やそこら歩いただけでは、その町の持つ雰囲気は感じ取れても、情感までは感じられないのだと思う。よって、僕は雑誌などが銘打っている町の内情が正しいかどうかさえ分からないまま、訪問地をを去ることになっている。

 しかし、その中でも自分が根を下ろして住んでみた町というのは、思い入れが強いこともあって、語れるところが多い。または、何回も訪れて隅から隅まで巡ってみた町は自分の庭のように歩き回れる。最近では毎月のように遊び回っている大宮がそれに当たる。町といっても半径1kmもないわけで、どこに何があるというのは何回か行けば分かるようなものだが、意外と見落としや縁のないところもある。特に、入ったことのなかったお店などを見つけ、入り、知ったときなどは、何か町の一部がまた自分のものになったような征服感で満足する。時間をつぶせる本屋やちょっと休憩できるカフェや喫茶店がなじみの店として利用できるようになると、その町はもう自分のものになったようなものだ。

 そんなわけで、また今日も新たな町を開拓すべく華の都に赴いた。が、やはり期待通りの町などそうはないものだ。何か面白そうでも、人が多すぎてゆっくりとできないか、人が少なくてゆったりできても、目ぼしいものがないかだ。だいたいにして、新しい町を巡る探検と言うのは失敗に終わる。もっとも探検と言っている時点で、すでに町を知ることを放棄しているような気もするが。

 やはり町というのは、長くじっくりと付き合ってみなければその正体を表さないものなのだろう。少なくとも、品揃えのいい本屋さんかセンスのいい喫茶店が見つからない限りは、町と向き合える気はしないというのが、僕の感想だ。

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