介子推 (講談社文庫)
2007年11月30日 読書
ISBN:4062637960 文庫 宮城谷 昌光 講談社 1998/05 ¥750
『重耳』のスピンオフというか、同物語を辛苦を共にした臣下の視点から描いた作品だったと思います。聖人的な感性を持ち、重耳に惚れ込む主人公介子推はもちろんのこと、重耳を付け狙い、暗殺を企て、介子推と対決するえん楚(えんは門に奄)など、人物が活き活きと描かれているのが印象的でした。内容的にも『重耳』を読んだ人には、うなずけるものだったのではないかと思います。『重耳』では見えてこなかった家臣団の苦難、特に介子推の活躍と苦悩が歯切れよく鮮やかに描かれているところなど、さすが宮城谷ワールドと思わされてしまいました。
ほぼ一文ごとに区切ってあることや、章立てがしっかりと成されていることで、文章を追いやすく、また漢字の使い方にかなりの気を遣われているんだろうと思われるほど、一語一語が丁寧に扱われている感じを受けました。前に読んだ『ドグラ・マグラ』とは、構成の点でかなりの違いがあった気がします。
宮城谷作品との出会いは高校時代に読んだ『孟嘗君』だったと記憶しています。その当時は、中国史といえば三国時代の小説しか読んだことがないくらいで、多少の興味はあったものの他の時代を探ってみようという気はたいしてありませんでした。というより、そのような良質な作品を書いている人がいることを知りませんでした。そのような時に、図書館で宮城谷さんの作品と出会いました。孟嘗君という人物は漢文かなにかで知っていたので飛びついてみたのですが、これに圧倒されました。まず、文章が美しい。そして、見たこともない漢字がその意味ぴったりと思われる箇所で使われている。そしてなんといっても人物が躍動している。一時期は宮城谷さんの作品ばかり読み漁っていたような記憶があります。
結果、大学でもちょっとだけ中国史の世界に入っていったわけです。そして最近、再び宮城谷さんの作品に触れているわけですが、本当にこの人はどれほどの苦労と困難を打ち破って物語を紡いでいるのかということに圧倒されます。まず、漢文を精読しているのは間違いないのですが、史実に外れないように丁寧に言葉を選んでいるところや、実在しない(?)人物をさりげなく創っていくところなど、僕には及びもつきません。本当に頭が下がります。
というわけで、宮城谷さんの作品を読むのは今後もライフワークにしたいですね。しばらくは他の人の作品を楽しんで、モチベーションを高めておこうと思います。
『重耳』のスピンオフというか、同物語を辛苦を共にした臣下の視点から描いた作品だったと思います。聖人的な感性を持ち、重耳に惚れ込む主人公介子推はもちろんのこと、重耳を付け狙い、暗殺を企て、介子推と対決するえん楚(えんは門に奄)など、人物が活き活きと描かれているのが印象的でした。内容的にも『重耳』を読んだ人には、うなずけるものだったのではないかと思います。『重耳』では見えてこなかった家臣団の苦難、特に介子推の活躍と苦悩が歯切れよく鮮やかに描かれているところなど、さすが宮城谷ワールドと思わされてしまいました。
ほぼ一文ごとに区切ってあることや、章立てがしっかりと成されていることで、文章を追いやすく、また漢字の使い方にかなりの気を遣われているんだろうと思われるほど、一語一語が丁寧に扱われている感じを受けました。前に読んだ『ドグラ・マグラ』とは、構成の点でかなりの違いがあった気がします。
宮城谷作品との出会いは高校時代に読んだ『孟嘗君』だったと記憶しています。その当時は、中国史といえば三国時代の小説しか読んだことがないくらいで、多少の興味はあったものの他の時代を探ってみようという気はたいしてありませんでした。というより、そのような良質な作品を書いている人がいることを知りませんでした。そのような時に、図書館で宮城谷さんの作品と出会いました。孟嘗君という人物は漢文かなにかで知っていたので飛びついてみたのですが、これに圧倒されました。まず、文章が美しい。そして、見たこともない漢字がその意味ぴったりと思われる箇所で使われている。そしてなんといっても人物が躍動している。一時期は宮城谷さんの作品ばかり読み漁っていたような記憶があります。
結果、大学でもちょっとだけ中国史の世界に入っていったわけです。そして最近、再び宮城谷さんの作品に触れているわけですが、本当にこの人はどれほどの苦労と困難を打ち破って物語を紡いでいるのかということに圧倒されます。まず、漢文を精読しているのは間違いないのですが、史実に外れないように丁寧に言葉を選んでいるところや、実在しない(?)人物をさりげなく創っていくところなど、僕には及びもつきません。本当に頭が下がります。
というわけで、宮城谷さんの作品を読むのは今後もライフワークにしたいですね。しばらくは他の人の作品を楽しんで、モチベーションを高めておこうと思います。
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