台風

2007年7月15日 思うところ
 不謹慎な話かもしれないが、子供の頃は台風が来るとなると妙に胸が躍ったものだった。日常と違うものが訪れるというだけで楽しみを覚えた。きっといつもと違うということ、なにが来るか分からないということ、それが子供心に響いたのだろう。そして、台風の日に敢えて外に遊ぶに行くと、自分が何かに立ち向かっているような感覚が、興奮をピークにさせた。

 自分は強い。台風にも立ち向かえる。自分は何でも出来る。

 そういった心持ちが、台風の中に佇む自分を有頂天にさせた。自分は台風の中にいるだけで、万能の人間になれた。そんな幻想を抱いたのが台風の日だった。

 
 
 そして、大人になった今、幻想は崩れ去った。万能の自分はいなくなり、台風に対する畏怖だけが残った。弱い自分だけが残り、絶対的に乗り越えられないものがはっきりしてしまった。

 物事を多く知ってしまった今となっては、子供の頃の無邪気さは影を潜めた。知らなければよかったこともいくつかはあったのかもしれない。しかし、今の自分は多くの時を隔て、経験してきたことの上に築かれている。決して、時と経験は無駄ではなかったはずだ。

 ではなぜ、自分は畏れることを覚えてしまったのだろうか。その理由は、他ならぬ大人になることと同義なのではないだろうか。そんな自分を疎んじてしまう人も多くいることは事実だ。しかし、「生きる」ということは、こういうことなのではないか。少なくとも僕は今ある自分を認めていきたい。これから先も自分を誇っていきたい。なぜなら、自分はそれ以上でもそれ以下でもない存在であり、常に可能性を秘めた自分であるからだ。

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